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21世紀の新視点

主に日米の国際情勢を解説していきます。

北朝鮮とアメリカの対立 民主化の兆しか?

北朝鮮 アメリカ トランプ

今月6日、北朝鮮が日本の排他的経済水域に弾道ミサイルを発射した。マスコミによると、この発射により北朝鮮は今まで曖昧にしていたトランプへの敵視を確実なものにしたと見られている。

北朝鮮ミサイル発射の背景は トランプ政権と対決明確に:朝日新聞デジタル

 

確かに、去年のある段階では北朝鮮のメディアはトランプに好意的な評価をしていた。それは、当時トランプが米軍基地の負担を増やすよう韓国に批判していたからだ。それを受けて北朝鮮メディアはトランプを「賢い政治家」と呼んでいた。しかし、実際にトランプが大統領になると、トランプは日本や中国との関係を密にし始めた。北朝鮮にとっては、この動きはまるで米国が北朝鮮の囲い込みをしているように写っただろう。

北朝鮮、トランプ氏に好意「賢い政治家」と論評 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 

歴代大統領は北朝鮮の核開発に対して様々な態度をとってきた。例えばオバマは、就任当初には北朝鮮との対話を重視して交渉に挑んでいた。これは、「戦略的忍耐」と呼ばれたが、度重なる核実験を受けてオバマはその態度を改めざるをえなかった。

 

昨年、トム・マリノフスキー元米国務次官補は、北朝鮮へ外部情報を流入させることが半島に平和を気づくうえで重要だと語った。実際、近年の北朝鮮では中国側の領域から北朝鮮へ様々な外国メディアが流入しているという。それらの外部メディアは、北朝鮮で増えつつあるブラックマーケットで販売され若者の手に渡っている。この新しい動きをもって北朝鮮民主化が始まりつつあると評価する論者もいるが、政府の弾圧も厳しさをましているのが現状だ。

北朝鮮の虐殺責任者「必ず突き止める」…米国務次官補インタビュー | DailyNK Japan(デイリーNKジャパン)

「2国家共存」の破棄で、中東は新たな局面へ

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今月15日、イスラエルのネタニヤフ首相が訪米しホワイトハウスでトランプと会談をした。その会談のなかで、トランプはイスラエルパレスチナの2国間共存に必ずしもこだわらない姿勢を見せた。

トランプ大統領「2国家共存こだわらず」、ネタニヤフ首相と会談 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

2国家共存というのは、イスラエルと共存するパレスチナ国家の設立を推進する和平構想で、最近20年間の歴代米大統領はこれを支持してきた。それだけに今回の声明はこれまでのアメリカの外交態度を一新し、場合によってはパレスチナ人が住む西岸地区へのユダヤ人入植を認めてしまうのではないかとの危惧もあがっている。

 

さらにトランプは、会談のなかでイランの核合意に反対していると話した。イラン核合意は2015年に締結され、オバマのレガシーと言われる政策だ。IAEAの目を逃れ核開発を行ってきたイランに対し、イランが核開発をできないレベルまで制限を課し、その見返りにイランへの経済制裁を解くというものだった。しかし、この合意は非常に曖昧な内容で、例えば低濃縮のウラン保持は認めるなど完全にイランの核開発を禁止しているかどうか怪しい。そのためネタニヤフはこの合意に反対の意を表ししていた。トランプの発言はネタニヤフを喜ばせる反面、イランのロウハニ大統領は「報復」という強い単語を出してまでアメリカを批判している。

【宮家邦彦のWorld Watch】イラン核「合意」は曖昧過ぎる イスラエル、サウジが黙っていない…中東「核拡散」の予感(1/4ページ) - 産経ニュース

核合意見直し「不可能」 イランのロウハニ大統領、米を牽制 - 産経ニュース

 

トランプ就任で揺れる中東事情といったところだが、実は2国家共存には問題点が多くパレスチナ側からも反対の意見がある。パレスチナの防衛力は弱く、イスラエル国防軍の力がなければ主流派組織であるファタハイスラム原理主義組織ハマスに飲み込まれてしまう恐れがあるからだ。

Why does the PA oppose a two-state solution? - Israel National News

 

2国家共存にしても1カ国による統一にしても、数多くの複雑な問題は依然残る。いずれにせよ、トランプがこれまでの2国家共存スタンスを変えたことで(少なくともそう示唆したことで)、2017年の中東情勢は新たな局面に突入することになりそうだ。

 

 

 

 

トランプの「一つの中国」発言で力を増す中国

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2月10日、トランプが習近平との電話会談中に「一つの中国」を尊重する意思を見せた。トランプは昨年12月2日に独立志向の高い台湾の蔡英文と電話会談をしたため、中国との関係悪化が懸念されていた。今回の電話会談により、トランプの対中外交スタンスが明らかになってきた。

Trump agrees to honour 'One China' policy despite threats - BBC News

CNN.co.jp : トランプ氏、台湾総統と電話会談 対中関係に影響も - (1/2)

 

アメリカは1979年の米中国交正常化から、中国共産党を唯一の合法政府と認める「一つの中国」の立場をとってきた。一方で、トランプの「一つの中国」を疑問視する態度や、「中国を為替操作国として認定する」といった発言により米中関係は緊迫するかのように見えた。

Trump to Brand China Currency Manipulator, Ex-Treasury Aide Says - Bloomberg

 

だが、意外なことに米中関係に関しては明るい見方も多い。トランプの上級顧問を務めた元CIA長官のジェームズ・ウールジーは昨年11月に、「アメリカは中国の台頭を認め、一帯一路政策にも緩やかな反応を示すだろう」といった主旨の発言をした。

Under Donald Trump, the US will accept China’s rise – as long as it doesn’t challenge the status quo | South China Morning Post

 

一帯一路とは、2014年に中国が提唱した外交政策で、中国とアジア、中東、アフリカそしてヨーロッパを海上で結び経済的なつながりを強化する意図がある。また、ウールジーは中国が主導するAIIBへも寛容な態度をとる姿勢をとっている。オバマはリバランシング政策としてTPPやADBに力を入れてきたが、トランプがTPPに不参加を決めADBの規模もAIIBのそれに及ばない今、中国のアジア台頭は必須になりそうだ。

トランプ氏の上級顧問、AIIB不参加「誤り」 : トランプ大統領 : 読売詳報_緊急特集グループ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

トランプ大統領、TPP離脱を正式表明(声明全文)

 

TPP離脱により、トランプはアジアにおけるアメリカのプレゼンスを下げている。また、今回の「一つの中国」発言はアメリカが中国のアジアにおける台頭を認めていると捉えることもできる。一方日本は、日米首脳会談を開いて両国の同盟を強化する声明を出した。だが「これで安心か」などと安易に思ってはいけない。アジアで中国が力をつけていけば、今後南シナ海尖閣諸島などで中国軍の動きが活発になるだろう。日本はそのような横行を牽制しながらも、経済的観点から日中の新しいつながりを模索していかなければならなくなる。

日米首脳会談の共同声明全文 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

手放しで喜んではいけないマティスの尖閣発言

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 今月3日、トランプ政権下で国防長官に就任したマティスが来日し、同日夕方に安倍と対談をした。ジェームズ・マティスはアフガン戦争などで活躍した軍人で、2005年に「戦うのは楽しい」という趣旨の発言をして世間を騒がせだ人物だ。しぶとく戦う姿勢から「狂犬」とのあだ名がメディアなどから付けられているが、プライベートでは7000冊もの蔵書をかかえ日々研究に勤しむ、非常に冷静な人物として知られる。

 

 ジェームズ・マティス国防長官は“生涯独身”の戦う修道士 | 日刊ゲンダイDIGITAL

 

 今日の会談で最も注目したいのは、尖閣諸島日米安保第5条の適用範囲内だとマティスが認めたことだ。第5条について改めて確認しておく。第5条には「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とあり、アメリカの対日防衛義務を定めた重要な項目である。

 

 米長官、尖閣に「安保条約適用」=核抑止力提供も確約-安倍首相、日本の防衛力強   化:時事ドットコム

 

 この第5条の適用範囲に尖閣諸島が含まれるのかという問題は、歴代総理と米政権の間の最重要事項の一つであった。例えば、2014年4月にオバマが来日した際、オバマ尖閣諸島が安保の適用化であることを安部と確認した。

 

 オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮 | ロイター

 

 以上のような経緯もあって、今回のマティスの発言は国内の対米追随派論者を安堵させたようである。しかし、マティスの発言は決して手放しで喜んでよいものではない。前述のオバマ来日のとき、オバマは日中の領土問題に踏み込まず、具体的な軍事介入について聞かれても答えなかった。アメリカの尖閣諸島への態度は非常に曖昧である。

 

 さらに、トランプは選挙期間中に日本の在日米軍駐留費の負担増額や、アメリカのアジア重視戦略であるリバランス政策を見直すことを示唆してきた。トランプは有言実行の人なので、今後明言通りにアメリカのアジアでのプレゼンスを下げる外交を行っていくかもしれない。そうなると、中国の横行がさらに手が付けられなくなる可能性もある。日本はこれを機会に、もう一度日米関係と自国の防衛について真剣に考え直す必要に迫られている。

 

 Listening:<記者の目>トランプ氏「米軍撤退」発言=宮城裕也(青森支局) - 毎日新聞

 What Will Donald Trump’s Asia Policy Look Like? | The Diplomat

トランプ大統領就任でも変わらないこと

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 本日から、主に日米関係に焦点を当てて国際情勢を解析するブログを始めていきます。投稿頻度は1,2週に1度を考えています。ニュースソースを元に、斬新で多角的な切り口で世界の動きを捉えていきます。至らぬところも多いでしょうが、何卒ご愛好よろしくお願いいたします。

 

 

 20日、トランプが大統領に就任する。トランプは20日にもオバマの政策を撤回するのではないかとの見方もある。米大統領は大統領権限を用い上院の承認を無視して、「行政協定」として外交に関する条約を結ぶことができる。これは、同じく大統領権限として廃止されうる。トランプは大統領権限を使って「パリ協定」などオバマが結んだ重要な条約を廃止するのではないかと言われている。オバマ時代のアメリカとは全く違った道を歩むと見られるトランプ政権。だが、彼の政策には以前の大統領らと共通している部分も多くある。

 トランプ次期米大統領、就任初日に大統領令署名も | ロイター

 「トランプ旋風」乗り越えパリ協定を前へ :日本経済新聞

 

 トランプが選挙期間中に訴えていた減税や規制緩和といった政策は、共和党のレーガンを踏襲している。また、環境政策への反対は石油業界とつながりの強かった共和党ブッシュ(子)政権(当時の副大統領チェイニーは石油関連企業ハリバートンの元CEO)の影響と考えられる。このように見てみると、トランプの政策は決して目新しいものではなく、第二次世界大戦後の共和党精神を受け継いだものであると分かる。このことを押さえておけば、トランプの基本的スタンスがぐっと理解しやすくなる。

 コラム:トランプ次期大統領はレーガン後継者か=嶋津洋樹氏 | ロイター

 

 就任式まであと数時間を切った。トランプが演説で何を話すのか、全世界が注目している。私は、50パーセントを超える不支持率を考えると、トランプは就任式の演説で特定の国や企業を名指しするやり方をしないと見ている。いずれにせよ、今日は世界が動き出す歴史的な1日となるだろう。

 トランプ氏:「好ましくない」54% 最も不人気大統領に - 毎日新聞